shapieron

米国株トレードを中心に普通の人が資産形成をする方法を紹介します。カイエンと青山の土地購入を目指しています。

星を継ぐもの〜科学的に事実を分析することそれが一番大事

 

ジェームズPホーガンの処女作にて傑作。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 


月面の探査隊が発見した真紅の宇宙服を身にまとった遺体。調査したところ、その遺体は現代の地球人となんら変わるところがなかった。ただ一つ、それが五年前のものだという他には。

物理学者のハントを中心とする国連調査チームは、「チャールズ」と名付けられたこのルナリアン(月の人)の謎を探るべく、物理、生物、地質、言語、様々な方面から調査を行う。
徐々に明らかになるチャールズの真実。

そんな中、木星の衛星ガニメデの調査隊は、未知の異星人(ガニメアンの巨大な宇宙船を発見する。そこから明らかになる衝撃の事実によって、進んだと思っていたルナリアン調査はむしろ混迷へと向かう。

果たして、チャールズは何者なのか。
そして、ルナリアンとガニメアンから明らかになる人類の真実とは…


SFには2つの種類があると考えています。
1つ目はSFファンタジー。異星人や宇宙、未来をテーマに扱いながら、物語を繰り広げる。ここでは科学的な知識や技術の説明やロジックにはそこまで重きが置かれてません。あくまでも物語を成立させて楽しませるための道具であるわけです。
ジューヌ・ヴェルヌの作品やスターウォーズなんかが代表的です。

そして2つ目がハードSF。
フィクションではありながらもあくまでも科学的な事象を中心として物語を描きます。
フィクションではありながらも、物語の書き方とベースとなる科学的な知識がバックとなって、フィクションとは思えない説得力を読者に与えます。
読後には、「確かにそういうこともあるのかもしれない」と思わされてしまうのです。


『星を継ぐもの』はまぎれもないハードSFであると同時に一流の探偵小説でもあります。
ホーガンの豊富な科学知識をベースに、未来の人類や異星人の技術が創造され、物語の主題として展開されます。そして、そこにはチャールズやガニメアン、人類自身への謎解きが常についてまわります。

既存の知識や理論をもとに仮説を立てる→新事実が発覚する→仮説/理論と事実が矛盾する→新たな仮説を立てる、の繰り返し。これは純粋に科学的な知的作業であると同時に推理小説の手法です。
読後のすっきりとした感覚は、まさに上質な推理小説を読み終えた時のそれと同じものなのです。


作中、主人公のハントの姿勢は一貫しています。
「仮に事実と理論が矛盾しているとき、見直されるべきは理論」なのです。
当たり前のこの事実ですが、自身の身の回りに置き換えてみるとそう行動できていないことが多いです。彼は、現実の問題に対処するには現実の事実を科学的に分析することでしかなし得ないことをはっきりと知っており、それに基づいて行動し、問題を解決していきます。だから気持ちが良いのです。それは、物語中盤までのダンチェッカーの姿勢によって、より際立ちます。

科学的に事実ベースで考えることが問題解決の糸口であるという、ホーガンのスタンスがはっきりと見て取れます。
この作品はSF小説として最高のエンターテイメントを備えつつ、気持ちの知的営みの爽快感を味あわせてくれるからこそSFの傑作たり得るのです。